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◆母平均の差の検定(1/6)◆

1. 母平均の差の検定とは

母集団において2つの群の平均値に違いがあるかを調べる方法を母平均の差の検定(The difference between the population mean test)といいます。

製薬会社が解熱剤を開発しました、その新薬Yの解熱効果を明らかにするために10人の患者を対象に、薬剤の投与前と投与後の体温を調べました。体温平均値は、投与前が37.30℃、投与後が36.60でした。
投与前体温平均値から投与後体温平均値を引いた値を低下体温平均値と呼ぶことにします。低下体温平均値は0.70℃でした。
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ここでは、母集団における解熱効果を「母平均の差の検定」によってどのように行うかを学びます。
母平均の差の検定は色々ありますが。ここでは代表的な3つの検定方法を取り上げます。

①対応のあるt検定  ②t検定  ③ ウエルチt検定

2. 対応のあるデータ、対応のないデータ

調査で収集されるデータには2つのタイプがあります。
①対応のあるデータ  ② 対応のないデータ

下記の左側は同じ対象者についての平均値を比較します。右側は異なる対象者の平均値を比較します。
比較するデータが、同じ対象者の場合を対応のあるデータ、異なる対象者の場合を対応のないデータといいます。
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対応のあるデータに用いる検定手法が対応のあるt検定(paired t test)です。
対応のないデータに用いる検定手法が対応のないt検定(unpaired t test)です。
対応のないt検定には、t検定ウエルチt検定があります。
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3. 母平均の差の検定/3つの検定手法の選び方

3つの検定方法はデータタイプだけでなく、サンプルサイズ、母集団の正規性、母集団の等分散性を考慮して選択しなければなりません。

(1) データタイプ 対応のあるデータ/対応のないデータ
(2) サンプルサイズ 大きい/小さい
(3) 2群各々のデータの母集団での正規性  正規分布である/正規分布でない
(4) 2群のデータの母集団における分散(散らばり)の同等性  等しい/異なる

フローチャートで、3つの検定手法の選び方を示します。
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注: ウイルコクソンの符号順位和検定の解説は割愛

ここでは「2(1)」のデータを用い、対応のあるt検定、t検定、ウエルチt検定を解説しています。「2(1)」のデータのサンプルサイズは小さいので、母集団が正規分布であることを調べて、これら3つの検定手法が適用できることを確認しました。
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下記の説明は理解しにくいと思いますが、解説を読み終わった時、再読してください。理解できることをお祈りいたします。
・母集団人数をN=100,000人、比較する2群の平均値をm1m2 とします。
12 とします。
・母集団は正規分布でないとします。
・この母集団について、サンプルサイズが30人以上(例えばn1+n2=150 人)の調査をして、検定統計量T値を求めます。
・ 調査は通常1回ですが多数(1000回)の調査を行い、1000個のT値を求めます。
・T値の分布は正規分布と形状が類似しているt分布となります。
・t検定は、母集団が正規分布でなくとも、T値がt分布になることに基づき行われます。
1+2<30 だとT値の分布はt分布にならず、t検定は適用できません。
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