1.1 統計データと統計 ~統計学は何をするためのもの?~
莉子:今日は特に具体的な質問があるわけじゃなくて、統計学で何が明らかにできるかを聞きたくて来ました。
先生:そう。では、はじめに、統計学が対象とするものが何かを考えてみようか。莉子さんが勤めている会社の社員は何人ぐらいかな。
莉子:200人位かしら。
先生:男性と女性ではどちらが多い?平均年齢は?
莉子:多分、男性の方が多くです。平均年齢は・・・わかりません。
先生:社員には男性も女性も、まだ若い人も年配の人もいるよね。このように、ひとりひとりの値が異なる場合、データは変動しているというんだ。一定でないということだよ。変動があるからこそ「女性より男性が多い」とか「平均年齢が何歳か」などを把握する必要が生じてくるんだ。社員の全員が男性、年齢も全員が32歳で一定であれば、何も計算する必要がないことが分かるよね
先生:仮に男性社員の割合が70%だったとしよう。この1つの値から、社員は男性の方が多いということがわかる。それに平均年齢が32歳だとすれば、この1つの値から莉子さんの会社は若い人が多いといったことがわかる。失礼だけど、莉子さんには彼氏がいるの?
莉子:えぇ!?まぁ、いるような、いないような・・・。
先生:これは個人的な興味だ。統計学を扱う職業的立場としては、誰に彼氏がいるかということには興味がないんだ。莉子さんが勤める会社の何割の人に彼氏がいるかということには興味があるけどね。
莉子:・・・。
先生:統計学では1人あるいは1つのものを個体、2つあるいは2つ以上の集まりを集団というんだ。統計学の対象は個体ではなく集団だ。そして統計学で明らかにできることは、平均値や割合などを用いて「集団の特色や傾向を明らかにする」ことだよ。集団ってとこがポイントだ!
統計学の目的
統計学の目的は、「集団の特色や傾向を明らかにする」こと。調査する集団は多種多様です。そのためあらゆる分析手法が確率されています。「すぐに使える!!統計学入門」では、使用頻度の高いものを中心に、概念と手法を解説していきます。