雪乃: 「さらに、2つの事柄の関係を調べるのに、単相関係数というものがあるの。」
美咲: 「えっ、なに、それ?」
雪乃: 「単相関係数とは2つの事柄の関係の強さを示す値で、0から1の間にあるの。単相関係数が1の時に相関関係が最もあり、0の時に相関関係が全くないの。練習日数と腕立て伏せの単相関係数を求めると0.55だったわ。この値は0.5以上だと相関関係があると考え、練習日数が多ければ腕立て伏せ回数が多くなると言えるのよ。」
美咲: 「ありがとう。自信を持って生徒に練習を薦めるわ。雪乃って、すごい。相関係数の出し方、私でもわかるかしら。簡単なら教えてくれる?」
雪乃: 「実は、Excelで計算したので、どのように計算するのか上手く説明する自信がないわ。所長がいるから説明してもらおう。」
美咲: 「所長に説明してもらうなんて、緊張するし、謝礼費なんて払えないよ。」
雪乃: 「大丈夫、所長って美人に弱いから。」
そして、雪乃は美咲を所長に紹介した。
雪乃: 「私の友人、美咲を紹介します。単相関係数の求め方を、肩たたき5分のサービスでお願いします。」
所長: (しぶい声で)
「予力測太郎です。よろしく。君は雪乃と違ってずいぶんおしとやかなお嬢さんだね。」
雪乃: (ふん、どうせわたしはガキンチョですよ)
所長: 「雪乃が説明できないんじゃ、しょうがないな。それでは不肖の弟子に替わって説明しよう。」
美咲・雪乃: (声をそろえて)「お願いしまーす。」
所長: 「では、計算方法を説明する前に雪乃が説明した単相関係数について補足しよう。まず、雪乃の描いた散布図の中に、腕立て伏せ回数の平均値を横線で、練習日数の平均値を縦線で描き加えてみなさい。」
雪乃: 「腕立て伏せ回数の平均は13回、練習日数の平均は7日です。線を描きました。これでよいですか?」
所長: 「OK。平均線で分けられた4つの領域を、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳとしよう。
練習日数と腕立て伏せ回数が無関係であるならば、点は4つの領域のⅠからⅣに均等にばらついて存在するはずだよね。」
雪乃: 「いわれれば、そうですね。」
所長: 「練習日数と腕立て伏せ回数の間に関係がある、すなわち練習日数が増加すると腕立て伏せ回数も増加する傾向がある場合は、点はどのように散らばるかな。」
雪乃: 「点はⅠとⅢに多く、ⅡとⅣに少なくなります。」
所長: 「雪乃が作った散布図では、領域ⅠとⅢに点が多く、Ⅱにひとつしか存在しないので、練習日数と腕立て伏せ回数とは関係が強いと推察することができる。統計学ではこの関係を相関関係という。相関関係の強さを示すのが単相関係数だ。」
所長: 「それでは手計算による相関係数の求め方を示そう。まずは、点が縦線より右にあるか左にあるかを調べることだ。縦線は練習日数の平均だということを忘れちゃいけないよ。」
雪乃: 「練習日数のデータから練習日数の平均を引けばいいんですか?」
所長: 「そうだ、引いた値がプラスなら右、マイナスなら左だろ。」
雪乃: 「ちょっと待ってください。計算してみます。」
雪乃: 「Aの差は0、ということは平均線の上にあるということね。」
所長: 「美咲さん、同じようにして、腕立て伏せ回数が横線より上にあるか下にあるかを調べてください。」
雪乃: 「できました。」
統計探偵物語
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