プロローグ

統計解析においてはピカイチの才能を持つ若きコンサルタント、予力測太郎(よりき そくたろう) という珍しい名前の男がいる。
この男のモットーは「データの中に光あり、解析力で宝を探せ」である。古今東西の探偵小説を読みあさり、ファッションやライフスタイルのみならず、自身の事務所まですっかりハードボイルドに決めてしまっている彼のことを、人は「統計探偵」と呼ぶ──。

統計探偵としての主な仕事は、顧客が抱えている悩みや明らかにしたいテーマを、解析力で解決する請け負い業務である。事務所は新宿のマンションの小さな一室、メンバーは予力所長、経理はじめ事務全般をみている所長夫人。そしてこの春、短大を卒業したばかりの統分雪乃(トウブンユキノ)が入社してきた。何のとりえもないが少年探偵コナンが大好きで、野次馬根性旺盛の女子である。ごく普通のOL生活を過ごそうと思っていた雪乃だったが、探偵かぶれで変人の予力にひょんな事件で出会いファンになってしまい、入社のお願いをしまくった。

予力は採用するつもりはなかったが、熱心さと“統分”という名前が気に入り採用することにした。雪乃は予力の仕事を手伝ううちに、失敗し、叱られ、褒められ、そうこうしながらも、少しずつ統計解析の魅力に気づきはじめるのだった。

これからのお話は雪乃が入社してから、所長の助けを借りて色々な仕事をこなしながら、成長していく物語である。そして今日も、「統計探偵事務所」の扉をノックする依頼者が訪れる……。

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