統計的推定・検定の手法別解説

◆母相関係数と比較値の差の検定◆

母相関係数と比較値の差の検定の概要

母相関係数と比較値の差の検定は、標本相関係数と解析者が定める比較値から、母相関係数が比較値と異なるかを検証する検定方法である。

母相関係数と比較値の差の検定は次の手順によって行う。
①比較する相関係数を定める

②帰無仮説を立てる
 母相関係数は比較値である

③対立仮説を立てる
 次の3つの内のいずれかにする
 (1)母相関係数比較値より大きい 
 (2)母相関係数比較値より小さい
 (3)母相関係数と比較値は異なる 

④両側検定、片側検定を決める
 対立仮説によって自動的に決まる
 対立仮説(1)  → 片側検定(右側検定)
 対立仮説(2)  → 片側検定(左側検定)
 対立仮説(3)  → 両側検定

⑤検定統計量を算出
 相関係数r 比較値R サンプルサイズn
 
⑥p値を算出
 検定統計量はz分布に従う。
 両側検定p値は、z分布における検定統計量の上側確率の2倍である。
 片側検定p値は、z分布における上側確率である。

⑦有意差判定
 p値<有意水準0.05 (5%)
 帰無仮説を棄却し対立仮説を採択する。
 母相関係数は比較と異なる(あるいは大きい、小さい)がいえる。
 p値≧有意水準0.05 (5%)
 帰無仮説を棄却できず対立仮説を採択しない。
 母相関係数は比較と異なる(あるいは大きい、小さい)がいえない。

母相関係数と比較値の差の検定の結果

具体例】
今、ある学校で1年生103人をランダムに選び、身長と体重の単相関係数を計算したら0.72だった。ここ数年の1年生の身長と体重の単相関係数はおよそ0.6である。今年の1年生の単相関係数は従来通りと考えてよいかを検定せよ。

【検定結果】
帰無仮説 今年の1年生の身長と体重の母相関係数は0.6である。
対立仮説 今年の1年生の身長と体重の母相関係数は0.6と異なる。
p値0.032<0.05より
今年の1年生の身長と体重の母相関係数は0.6と異なるといえる。

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