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◆母平均の差の検定(2/6)◆

4.   母平均の差の検定の仕方

母平均の差の検定の大雑把な仕方を説明します。
調査データに仮説検定の公式を適用し統計量の値を算出します。統計量の値と統計学が決めた基準となる値を比較します。統計量の値が基準となる値より大きいか小さいかで母集団において解熱効果があるかを判断します。
仮説検定によって使われる統計量は次の3つです。

信頼区間  ② T値  ③ P値

①信頼区間による仮説検定の仕方を説明します。


T値による仮説検定の仕方を説明します。仮説検定の公式によって求めたT値と統計学が決めた基準の値(棄却限界値という)を比較します。
T値>棄却限界値なら新薬Yは解熱効果があると判断します

P値による仮説検定の仕方を説明します。仮説検定の公式によって求めたP値と統計学が決めた基準の値(有意点という、通常は0.05)を比較します。
P値<0.05なら新薬Yは解熱効果があると判断します。

5. 母平均の差の検定の手順

母平均の差の検定の基本的な手順を示します。

(1)仮説を2つたてる。

①「等しい」という仮説をたてる。

統計学では帰無仮説という
帰無仮説は統計学観点からたてる仮説。

【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は等しい」

②「異なる(解熱効果がある)」という仮説をたてる。

統計学では対立仮説という。
対立仮説は分析者が結論(目的)とする仮説。

【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は異なる(解熱効果がある)」

(2)調査データについて、平均値、標準偏差、標準誤差を算出する

(3)仮説検定の公式に標準誤差を当てはめ検定統計量を算出する。検定統計は、信頼区間T値P値の3つである。

(4)比較

方法1 信頼区間の下限値と上限値の符号が同じか異なるかを比較
方法2 T値と棄却限界値を比較。
方法3 P値と有意点を比較。(よく用いられる有意点は0.05 )

(5)判定

3つの方法のいずれかで行う。どの方法を選択しても結論は同じ。

<条件式が下記の場合> 

方法1 下限値と上限値の符号が同じ  
方法2 T値>棄却限界値 
方法3 P値<有意点0.05 
「等しい」という仮説を棄却し、「異なる」という対立仮説を採択する
対立仮説の採択によって、母集団において、異なる(解熱効果がある)がいえる。
このことを、「信頼度95%で有意な差がある」という言い方をする。

【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は信頼度95%で有意な差がある。」
母集団において新薬Yは解熱効果があったといえる。信頼度は95%である。

<条件式が下記の場合>

方法1 下限値と上限値の符号が異なる  
方法2 T値<棄却限界値 
方法3 P値>有意点0.05 
等しい」という仮説を棄却できず、「異なる」という対立仮説を採択しない
対立仮説を採択できず、母集団において、異なる(解熱効果がある)がいえない。
このことを、「信頼度95%で有意な差があるといえない」という言い方をする。

【例】母集団の「新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値は信頼度95%で有意な差があるといえない。」
母集団において新薬Yは解熱効果があったといえない。信頼度は95%である。

6. 標準誤差

 母平均の差の検定で最初にすることは標準誤差を求めることです。

母平均の差の検定には3つの解析手法がありますが、SE(標準誤差)の式の標準偏差の求め方が異なります。

対応のあるt検定のSE(標準誤差)

個々の対象者の差分データの標準偏差sを用います。
6(1)の表(左側)における差分データは、新薬Yの投与前体温と投与後の差分で、これを低下体温といいます。


対応のないt検定のSE(標準誤差)

対応のないデータなので個々の対象者の差分データは作成できません。
したがって、比較する2群の各々のデータの分散(標準偏差の2乗)を用います。
6(1)の表では新薬Y低下体温のs 12 、従来薬X低下体温のs 22 が2群の分散です
母集団の分散が等しいときの方法なので、2つの群の分散の加重平均を用います
加重平均 s 2  は次式で算出した値です。


ウエルチt検定SE(標準誤差)

t検定同様、比較する2群の各々のデータの分散(標準偏差の2乗)を用います。
6(1)の表では新薬Y低下体温のs 12 、従来薬X低下体温のs 22 。


「2(1)」のデータについてSE(標準誤差)を求めます。


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