カプランマイヤー法

◆カプランマイヤー法(2/3) ◆

2. カプランマイヤー法で累積生存率を計算してみる

今回は簡単な事例で、カプランマイヤー法を用いて累積生存率を計算してみましょう。

右の図は観察期間8ヵ月間において10人の患者の死亡、打ち切りを調べたものです。
観察開始から死亡あるいは打ち切りまでの期間を直線で表記し、そして、直線の終点が黒丸の場合は死亡、ない場合は打ち切りを表しています。
累積生存率を計算する方法

 カプランマイヤー法を用いた累積生存率は、次の4つのステップで求められます。
(1)観察データ表の変更

 観察開始時期をそろえて、観察期間の短い順に並べ替えます(右表を参照ください)

まず、観察開始時点をそろえ、それから観察期間を短い順に並べ変えると、イメージがつかみやすくなります。

(2)期別死亡率の算出

 ここで大事なのは観察時期別の対象となる、患者数と死亡数の確認です。先ほどの表では時期別の患者数や死亡数が、実はすぐにわかるようで、わからないので、一般的に右の集計表を作成します。

 このように死亡や打ち切りをアウトカムとして整理します。そして、その横に観察期間を書きます。
次に右図のように試験の観察期間ごとの患者数を整理します。
観察期間が2ヵ月の期別患者数は2人、3ヵ月は1人、4ヵ月は3人となっていることが、表にするとわかりやすくなります。

 観察期間が3ヵ月の調査で対象の患者数が、全部で何人になるかを計算するには、観察期間が3ヵ月の調査対象患者数が、その時点で何人いるかを調べればいいのです。

 観察期間が2ヵ月では1人が死亡、1人が打ち切りになっているので、3ヵ月の時は2人いなくなっています。したがって調査対象患者数は10人から2人を除いた8人となります。

 観察期間が4ヵ月ではどうなるかを計算してみましょう。2ヵ月で2人、3ヵ月で1人いなくなっているので、10人-2人-1人=7人となります。このようにとても簡単に理解ができるようになります。
 実は、各調査時期の調査対象患者数は、算出したい時期の1つ前の時期までの死亡や打ち切りを足し合わせた数を、調査対象全体(今回の事例では患者10人)から引いた数になるのです。

右の表を参照してください。
たとえば、観察期間が7ヵ月の場合、

2ヵ月で終了が2人
3ヵ月で終了が1人
4ヵ月で終了が3人
5ヵ月で終了が1人
6ヵ月で終了が1人

2+1+3+1+1=8人

となります。

調査対象患者は計10人ですので、
10人-8人=2人
観察期間が7ヵ月の場合の調査対象患者数は、2人です。

 これが生存曲線のグラフ上に表記されるn数となります。そして、期別死亡率の算出は簡単です。先ほどのアウトカムに記載された「1」(死亡)の数を、期別に数えればいいだけです。
つまり、2ヵ月目は1人、3ヵ月目はゼロ、4ヵ月目は2人……となります。期別死亡数は右の表を参照ください。
(3)期別生存率

 いよいよ、(2)期別死亡率、(3)期別生存率、(4)累積生存率を求めるところにきました。これもサクサク簡単に計算できるので、やってみましょう。

 最初に、先ほど求めた期別の対象患者数と死亡数を右表の(a)と(b)に転記してみてください。そして順を追って表の(c)(d)(e)を埋めてみましょう。

期別死亡率は、期別死亡数を対象患者数で割ることで求めることができます。そして、死亡率がわかれば生存率も簡単にわかります。期別生存率は100%から時期別死亡率を引くだけでいいのです。

(4)累積生存率

 期別生存率を掛け合わせれば累積生存率が算出できます。

このようにご自身で簡単な事例を使って、実際に計算してみると簡単にできることがわかると思います。

 観察期間8ヵ月間で生存率は21.4%です。そして、この生存率を正確には「累積生存率」というのです。ここまで理解できれば、カプランマイヤー法の基本的な考え方をマスターできたということです。

最新セミナー情報

予測入門セミナー

予測のための基礎知識、予測の仕方、予測解析手法の活用法・結果の見方を学びます。

マーケティングプランニング&マーケティングリサーチ入門セミナー

マーケティングリサーチを学ぶ上で基礎・基本からの調査のステップ、機能までをわかりやすく解説しています。

統計解析入門セミナー

統計学、解析手法の役割から種類、概要までを学びます。

アンケート調査表作成・集計・解析入門セミナー

調査票の作成方法、アンケートデータの集計方法、集計結果の見方・活用方法を学びます。